意外と知らない、整体とマッサージの違い5ポイント
調子はいかがですか。
池袋から徒歩7分、脱力集中整体の院長、田中孝祥です。
●整体とマッサージ、どこがどう違うんだろう?
●私のカラダの悩みだったら、どのお店にいくのがいいんだろう?
このように感じたことはないでしょうか。
私は整体院を経営していますが、整体とマッサージとの違いはよく話題にのぼります。
なんとなくの違いはわかりますが、厳密に何が違って、自分はどちらにあっているのかわかりにくいという方が大半です。
法律的な違いとしても気になりますし、何より気になるのは整体を受ける側としてメリット・デメリットがどの程度あるのか気になりますよね。
今回はまず前提として法律制度から整体とマッサージの違いを解説します。
そしてお客側としてお店にいくなら、どのようなメリットデメリットがあるのか5つほどを解説していきます。
目次
法律制度からみた整体とマッサージの違い
整体とは何か?
まず、整体とよばれるもの。
具体的にはどんな手技をさすのでしょうか?
整体(せいたい)とは、日本語では主に手技を用いた民間療法、代替医療を指す。日本語としては、大正時代に用いられるようになった用語で、アメリカで誕生したカイロプラクティック・オステオパシー・スポンディロセラピーなどと日本古来の手技療法と組み合わせたものを、「整体」や「指圧」と名付けたのが始まりのようである[1]。
整体ーWikipedia
整体という言葉を調べると、わりあいぼんやりした用語に聞こえますね。
明確に「これ」と決まっておらず、アメリカで生まれた手技と日本古来の療法を組み合わせた民間療法がいちばん近いようです。
じつは日本の法律では、整体というジャンルは定義されていません。
国の制度として決まっていないので、民間から自然発生してそのままになっている状況なのですよね。
いちおう国の見解としては、平成3年に厚生労働省の通知があります。
医業類似行為に対する取り扱いについて
整体ジャンルの一部であるカイロプラクティックについて「医業類似行為又はこれと紛らわしい行為」と表現されており、「医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す」と記されています。
整体という範囲がきっちりと定義されていませんから、一般目線では余計にはっきりしない「わけのわからない」ものとなっています。
実際に整体の手技には、整体・カイロプラクティック・オステオパシー・ロミロミ・リラクゼーション・コルギ・操体・ストレッチなどが含まれ、増え続けています。
ここでポイントになるのは、日本の法律に記されていないこと。
日本の法律にありませんから、「整体師です」と勝手に名乗っても法律的にはなんの問題もありません。
ですから極端な話をすれば、この記事を読んでいるあなたが「整体師です!」と名乗れば1秒後には整体師になることができます。
とはいえ、さすがに整体師を名乗っている人が本当に素人なわけないんじゃないか?
と思いますよね。
整体で他人のカラダを改善しようとするくらいなんだし。。。
良心的なあなたは整体師はプロなので技術がある思うでしょうが、実情はかなりシビアです。
多くの整体の学校、企業研修は1ヶ月程度です。
例えば、とある整体院の「プロを目指す」コース。あえて名前は出しませんが、8回コース:8日間 × 4時間 = 計32時間と記述されています。
1週間でプロになれるとうたっているわけですね。
これは極端な例ですが、一般的な企業研修と考えれば1ヶ月程度が通常でしょう。さすがに新人研修に数年もかけるほど企業に金銭的余裕はありません。
整体師になるだけなら、多くの人は1ヶ月です。
ですが医療の観点からみると、1ヶ月の研修では知識不足だとされています。
例えば理学療法士や柔道整復師は4年、薬剤師や医者は6年の学習期間を国から義務付けられています。
さらに新卒は研修医(レジデント)扱いですから、実際にお客様のカラダをまともにみられるのは2年ほど追加でかかることでしょう。
つまり技術のある整体師は、企業体制や学校では養成されていません。
整体師自身のあくまで個人的な良心と努力によって、お客様のカラダを治せる技術を磨いていくことになります。
ということは、あなたがお客として整体師を選ぶときには「整体師」という資格では不十分といえます。
「柔道整復師」「理学療法士」「看護師」といった国家資格系のワードがあるか、学会やスキルを磨いた資格があるかといった周辺情報をチェックするとよいでしょう。
マッサージとは何か?
次に、マッサージとよばれるものは何でしょうか。
こちらは日本の法律で決められています。
第2条 免許は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条第一項の規定により大学に入学することのできる者(この項の規定により文部科学大臣の認定した学校が大学である場合において、当該大学が同条第二項の規定により当該大学に入学させた者を含む。)で、三年以上、文部科学省令・厚生労働省令で定める基準に適合するものとして、文部科学大臣の認定した学校又は次の各号に掲げる者の認定した当該各号に定める養成施設において解剖学、生理学、病理学、衛生学その他あん摩マツサージ指圧師、はり師又はきゆう師となるのに必要な知識及び技能を修得したものであつて、厚生労働大臣の行うあん摩マツサージ指圧師国家試験、はり師国家試験又はきゆう師国家試験(以下「試験」という。)に合格した者に対して、厚生労働大臣が、これを与える。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(昭和22年法律第217号)
わりあい難しいことが書いてありますが、ポイントは国家資格の医業類似行為を行える職業であること。大学の専門過程で3年以上学ぶということです。
国家資格ですから、条件を満たせば保険適応の治療がうけられます。
3年以上学んで国家試験に合格しているので、ある程度の技術や人間性は保証されていると言えます。
ちなみに「マッサージ師」ではなく「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師」となっているのは理由があります。
資格を取得する時のカリキュラム上、「マッサージ師」と「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師」は同じ課程になることが多いからです。
ほとんどの大学で「マッサージ師」のコースだけでなく「鍼灸あん摩マッサージ師」のコースを併設しており、資格取得にかかる学費や実習時間を考えると「鍼灸あん摩マッサージ師」を取得したほうが得なのです。「マッサージ師」の資格だけをとる人はレアケースといえるでしょう。
マッサージ師の資格をとったあとは整骨院・接骨院・病院関連施設にいるのが通常です。
国家資格ですから必然的に給料が高くなりますし、保険を使わない格安整体院や美容院で雇うのは難しくなります。
保険を使わない格安整体院で「マッサージ」を書いてあるお店は偽マッサージ店の可能性が高いでしょう。
日本にはマッサージ師の資格がないのに「マッサージをします」とうたっている店舗が多くあります。
マッサージ師の資格がないのに「マッサージ」と記すのは厳密にいうと違法です。
偽マッサージ店が多すぎて摘発しきれていないのが現状ですが、「マッサージ」をうたう偽マッサージ店が違法行為を行なっているのは事実です。違法行為を行う店に通うのは避けたほうがよいでしょう。
ちなみに私のもっている国家資格である理学療法士は、マッサージができる職種です。
第二条 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
理学療法士及び作業療法士法(昭和四十年六月二十九日法律第百三十七号)
このように「マッサージ」が資格名としてだけでなく、技術として一般に浸透しすぎているのもまぎらわしい原因といえますね。
整体を受ける側にとって、整体とマッサージは何が違うか
さてさて。
法律的なことは記してみましたが、いちばん気になるのは「お客として行くなら、どんな違いがあるか?向き不向きは?」ということだと思います。
5つほどポイントをあげてみます。
症状が改善するのはどちら?
カラダが辛くて整体やマッサージに行きたいとき、症状が改善するかどうかは非常に重要ですね。
法律や形式的なことは気にしない。治ればいいよ!という人も多いでしょう。
マッサージは当たりも外れも少ない。平均的に高クオリティです。
整体はさまざまな流派やジャンルが混じりこみ、方法の制限をうけないのが特徴ですから実に様々な方法を行うことができます。
ですから良い整体院と施術者をみつけられれば大きく改善し、外れれば悪化するという玉石混合といえるでしょう。
緊急性の高い、つらい不調のときに行くのはオススメしません。
体調が気になるレベルのときに、クオリティの高い整体院をみつくろっておくことをオススメします。
マッサージは国家資格であり研修期間も長いですから、平均的にクオリティは保証されています。
ですから質の悪いマッサージ店に行っても大きく悪化する可能性は低いと言えます。
ただし保険を使うのであれば国の指定する方法や時間に従う必要はありますし、軽い症状ではそもそも保険が使えません。
緊急性の高い不調のとき、マッサージ店に行くことをオススメします。
価格はどちらが得?
整体とマッサージ、同じように通うのであればお得なほうが良いですよね。
症状によっては1回で治すのは難しいだろうし、何回か通う前提でお店を選ぶときもあるでしょう。
価格が得なのはどちらでしょうか。
マッサージ価格は安い。保険適応だから。
と思いがちですが、軽い症状では保険適応できませんから、料金はほとんど変わりません。
マッサージのようなもむ・ほぐす・叩く系の背術の場合、国がお金を出してくれる基準がかなり厳しいです。
自力で生活できる症状である肩こり・腰痛ではマッサージを保険で受けられる可能性は低いと言えるでしょう。
具体的には「関節拘縮」「筋麻痺」といった入院手前レベルの症状があり、医師の書面があってはじめて保険適用となります。
ですから肩こりや腰痛があり、マッサージをもとめて鍼灸院に行こうが、ほぐしてもらいに整体に行こうが、料金区分はどちらも自己負担になることが大半です。
保険での治療をうけたい場合は、病院に行きましょう!
時間の融通がきくのは?
仕事や家事。まとまった時間をとるのは意外とエネルギーを使うもの。
好きな時間に施術を受けたい!足だけじゃなくて目のまわりもやってほしい!
お客側の望みを叶えてくれるお店はどちらでしょうか?
マッサージは融通がききにくいが、効果が安定。
整体は国に資格を担保されているわけではなく、整体師とお客の直接契約になりますから非常に融通がききやすくなります。
極端な話、お互いの合意さえあれば何でもアリです。(もちろん法律の範囲内です)
ただしチェーン店の場合はお店の規律がありますから、あまり好き勝手やっていると整体師がお店に怒られてしまいますのでご注意を。
マッサージは国家資格ですから、かなり細かく規定が決まっています。
骨折患部に施術をしてはいけない、違反してはいけない、というように法律に規定されており、破ると資格が剥奪されてしまいます。
そのぶん融通はききにくいと言えるでしょう。また専門職ですから深夜営業をしなくても稼げる人も多く、夜間は営業していないお店が多い印象です。
ホームページや予約のスムーズさは?
昼間だと仕事だし、予約ができない!
ホームページは見やすいほうが良いですし、Lineなどで連絡がとれるほうが良いですよね。
予約までの動きがスムーズなほうが楽でしょう。
マッサージは営業時間内にかっちり対応。
整体は自費で自由がききますから、ホームページやLineに経費をかけるお店が多く、比較的スムーズなところが多いといえるでしょう。
Lineなどの時代の変化にも小回りがききます。
ただし個人店の場合は手が回っていないこともありますのでご注意を。
マッサージ、とくに保険診療をおこなっているお店はホームページに詳しい文章は書けません。
じつはマッサージ師には、広告の制限があります。
いたずらに患者さんを煽ったり、治療をうけましょう!と宣伝することができないため、サポートの仕方にもじゃっかん制限がかかります。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律
第七条 あん摩業、マツサージ業、指圧業、はり業若しくはきゆう業又はこれらの施術所に関しては、何人も、いかなる方法によるを問わず、左に掲げる事項以外の事項について、広告をしてはならない。
一 施術者である旨並びに施術者の氏名及び住所
二 第一条に規定する業務の種類
三 施術所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項
四 施術日又は施術時間
五 その他厚生労働大臣が指定する事項
お客を大事にしているのは?
施術の対価としてお店に払うお金。
どうせならお店が発展するように使ってもらい、ゆくゆくはお客側に還元してほしいですよね。
マッサージにとってのお客は30%あなた、70%が国です。
整体は自費ですから、100%お客が払ったお金で成り立っています。
お客がいないとなりたちませんから、かなり大事に扱ってくれるでしょう。
一方のマッサージは、3割負担の健康保険ですと70%は国のお金で成り立っています。
お客が出すお金は30%ですから、じつは国がスポンサーになっています。どちらかといえば、国の言うことを聞くのが優先になるでしょう。もちろん自費で施術しているマッサージ店は100%あなたのお金で成り立っています。
まとめ
以上、整体とマッサージの違いを記してみました。
大まかにまとめると。
●マッサージは品質が安定しており、外れがすくないので緊急時に最適。
どちらも特色がありますから、状況に応じて利用していくのが一番よいです。やはり自分にあったお店をみつけていくことがベストですね。
ちなみに脱力集中整体は2ヶ月を目安に症状を解消できるようご提案させていただいています。
ご覧いただきありがとうございました!
脱力集中整体 院長 田中孝祥